当院のデジタル化

◯デジタルデンティストリーの現状

デジタルデンティストリーとは『歯科医院や歯科業界のデジタル化』という意味を有しています。

一般的にデジタル化(DX化)とは、ITを介して多くの人や物、情報をつなげることによって、有意性のあるサービスを生み出すことを意味します。

もともと歯科医院には、治療器具や精密機械、治療に関する様々なデータがあります。これらのデータをデジタル化することにより、効率的に治療・診療を行うことができるようになってきています。まさにデジタルデンティストリーの時代が到来しています。

歯科治療や歯科技工には様々なものがあり、その多くは歯科医師や歯科技工士等の「手」によるアナログな手法で行われてきています。

例えば、歯型模型を作製する際においても、歯科医師が印象材(3分程度で固まるゲル状のもの)を患者様の口腔内に圧着して取った印象(歯型)に石膏を流し込み、完成した石膏の歯型模型に歯科技工士が手を加えるなど、多くの作業や人の手が必要でした。しかしながら、IT技術の発達とともにデジタル制御された医療機器が開発され、デジタル機器によるデータの電子化が進むことによって、歯科医院の治療行為も圧倒的に効率化できるようになってきました。上記の例では、口腔内スキャナーというデジタル医療機器によって患者様の歯列をスキャニング(撮影)するだけで歯型を取ることができるようになっています。

このように治療行為が効率化されることによって、患者様の治療に対するストレスや不安が軽減され、より快適な歯科治療が可能になることが期待できます。

◯当院のデジタル化ビジョン

当院では同ビルに呼吸専門のクリニック(徳永睡眠クリニック)があるため、睡眠障害の患者様が多数来院されます。睡眠障害の1つに睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome : SAS)があります。

欧米人と比較してアジア人は非肥満の骨格的要因が原因となりうる割合が大きいため、まず頭蓋顔面の骨格診断を行い、①マウスピース ②歯科矯正 ③顎顔面手術から適切な治療法を選択します。当院では頭蓋顔面の骨格診断を行う際にデジタル機器を使用しています。具体的には、歯科用CTというデジタル医療機器を活用して、患者様の気道を解析し、閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療計画を策定・治療効果の評価に活用しています。また、3Dスキャナーというデジタル医療機器を活用して歯列のスキャン画像を採得、別途撮影した歯科用CTの画像とデジタル上で統合させることによって、閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療用のマウスピースを作製しています。これらの取組によって、閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療の品質が向上し、治療期間の短縮にもつながっています。

今後は歯科用CTと連動する3Dソリューションソフトウェア(気道解析ソフト)を新規導入し、より精緻に気道を解析できるようにします。また、歯科用レーザーというデジタル医療機器を新規導入し、患者様の口腔内の容積を大きくするための治療を新たに行います。これらの新たな取組によって、閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療の品質がさらに向上し、治療期間がさらに短縮されることになります。

◯当院のデジタル化ビジョンを実現するための戦略(デジタル化戦略)

睡眠時無呼吸症候群の治療をさらにデジタル化します。

まず、現有の歯科用CTと連動する3Dソリューションソフトウェア(気道解析ソフト)を新たに導入します。これまで以上に口腔内・気道の状態を精緻に把握することができるようになり、治療計画や治療経過の評価の品質が向上します。

また、歯科用レーザーを新たに導入します。口腔内の粘膜面にレーザー光を照射するだけの治療となりますので、患者様にやさしい非侵襲性の治療となります。

具体的には、口の中の軟口蓋や口蓋垂にレーザーを照射し、緩んだ組織を引き締めることで、いびきと睡眠時無呼吸を改善します。治療中の痛みはほぼなく、治療の直後から食事も可能となります。そのため、口腔内の切開を伴う外科的手法とは異なり、治療による日常生活への影響はほぼありません。

さらに、院内の専用診察室にて、デジタル医療機器である睡眠時無呼吸の検査機器を患者様に装着してもらい、患者様の睡眠の状態をモニタリングし、術前後の変化を確認します。

この睡眠時のモニタリングによる数値データに加え、デジタル内視鏡によって咽頭部の開きをみることによって、より正確な診断・治療を行います。この内視鏡の画像もPCを介して診ることとなり、画像をデジタルデータとして活用することができます。

◯当院のデジタル化戦略の実施体制

院長をCIO(最高情報責任者)とし、今後のデジタル化戦略を実現するための指揮を取ります。また、睡眠時無呼吸症候群の治療について、当院の全員体制で臨みます。具体的には、院長が治療を行い、看護師がバイタルモニターの管理や点滴等、歯科衛生士が口腔内の管理等、歯科技工士が治療用マウスピースの作製を行います。